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研究テーマ紹介1:高層大気中の原子・イオンのLidar観測用レーザー

こんにちは!はじめまして。ブログリレーの言い出しっぺでトップバッターとなった桂川研究室のM.O.です。私の研究テーマについて紹介していこうと思います。


私の研究室では主にレーザーを作成しています。その中で私は高層大気中の原子およびイオンのLidar観測に用いるためレーザーの改良に取り組んでいます。


皆さんLidarをご存知でしょうか?LidarはLight detection and rangingの略で、パルス状のレーザー光を計測したい対象に当てて、対象に当たった光が反射されて帰ってくるまでの時間を測定し、(光速)×(帰ってくるまでの時間)で対象までの距離を計測する技術です。近年、自動運転で道路の状況など自動車の周囲の情報を得るために活用されるということで注目されていますが、私がLidarを用いて測定しようとしているものは上空80〜120kmほどにあると考えられている大気中の特定の原子やイオンの密度とその高度分布です。連続して測ることで時間変化も知りたいと思っています。


対象の原子やイオン(ここでは簡単のためAとおく)によって散乱される光のパワーはAの密度に比例するので、地上から上空に向かってレーザーパルスを打ち上げ、Aによって散乱された光の帰ってくる時間と光強度を地上で測定することでAの各高度における密度を得られるという仕組みになっています。ちなみに光が当たる対象が十分に密度が高く均一な境界面では反射というが、対象が原子・分子・イオンなどの粒子の場合散乱というようです。


対象Aについては詳しく説明しませんが、散乱という現象を少し掘り下げてみたいと思います。原子や分子、イオンにはそれぞれ固有の共鳴周波数というよく散乱される波長の光があり、私が作成してるレーザーでも対象Aの共鳴周波数に一致するレーザー光をいかに高効率で発生させることができるかが重要となります。https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005301544_00000A

動画では同じ周波数の音叉について、一方の音叉1を鳴らすと音波を介して接触していない他方の音叉2が鳴り、その後音叉1の音を止めた後にも音叉2から音が鳴り続けるという現象を示しています。さらにこの後で周波数の異なる音叉では音が鳴らないという現象も示しています。音と光では異なるかもしれませんが、上で述べた共鳴という現象は同じ性質だと思います。Aに固有の共鳴周波数によく一致するレーザー光をAに当てると、音叉2のようにAは共鳴し、自ら共鳴周波数の光(散乱光)を発するようになり、その光を地上で観測することができるということです。音叉と同様に、共鳴周波数に一致しない場合は共鳴が起こらないので、Aの共鳴周波数に一致する非常に狭い周波数領域のレーザー光を用いることでAによる散乱光のみを得ることができます。


ここまで拙い文章ですが紹介を試みました。もっと話を詳しく知りたいという場合や間違いの指摘などはコメントやContactの方からご連絡ください。ぜひ交流しましょう!


おまけの小話

観測では上空およそ100kmの原子やイオンをターゲットとしているのですが、私の観測している場所からちょうど100kmくらいのところに富士山があり、天気が良い日にはくっきりと見えます。富士山を見るたびにあれぐらい遠くまでレーザー光が行って反射されて帰ってくるんだ(往復わずか0.7msで!)と思うとちょっとした感動を覚えます。



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