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研究テーマ紹介7:光コムを使った2色法による精密距離測定

こんにちは。美濃島研究室の田中です。

今回は私の行っている研究について説明いたします。


私は、光コムを使った距離測定の手法について研究しています。


産業用センシングや精密な素子の生産や検査、巨大建造物のモニタリングなどを行うために、光を使った非接触かつ高精度な距離測定は必要不可欠です。光を使った距離測定では、光が通った長さ(光路長)を測ります。光路長は、実際の長さ(幾何学長)に空気屈折率を掛けたものです。 (光路長=空気屈折率×幾何学長)

真空中であれば光路長=幾何学長なのですが、私たちの暮らす一般的な環境下での距離測定では、空気屈折率の影響を考えなければなりません。空気屈折率は気温、気圧、湿度などに依存して、常に揺らいでいます。数十メートル離れたところからナノオーダーで高精度に距離を測定するときに、この空気屈折率の揺らぎが原因で精度が低下してしまうといった問題点があります。

そこで、これまでに、空気屈折率を補正(無かったことにする)し幾何学長を高精度に測定する手法について研究されてきました。

従来では、光路内にセンサーを設置し、気温、気圧、湿度といった環境パラメータから経験式を用いて空気屈折率が算出されていました。

しかし環境の揺らぎが時間的にも空間的にも変動するため、センサーでの補正精度には限界があります。


そこで、2色の光を使う「2色法」という手法が提案されました。

2色法は2つの波長の光を使って空気屈折率を補正する手法です。

2色の光路長を測定するだけで、それぞれが感じる空気屈折率の違いから幾何学長を高精度に求めることができます。センサーによる精密な環境測定が不要になり、光が自分で空気屈折率を補正するため、「自己補正」と呼んでいます。

2色法の光源に光コム(詳細は第2回目へ!)を使うことによって、さらに高精度に幾何学長を測定することができます。

最近では光コムを使った2色法によって、より大きな環境変動の中での高精度な距離測定や、遠く離れた物体の形状計測手法の研究もされており(私もその一員です)、これからもさらなる高精度化や実用化が期待されます。


原理を細かく言うと長くなりますが、ざっくり説明するとこのような感じです。

堅苦しい説明になっていないか心配ですが、興味を持っていただけたら幸いです。



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